石田淳 ×泉正人×嶋津良智×鮒谷周史×本田直之
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グローバル化の進展に伴い、世界は空間的位相を超越したと思われている中、日本でのビジネスでの経験や発想をベースに、生の情報交換や人的交流の場としてボランティアで提供することで、このような現状を打破するために、ささやかながら貢献できるのではないかと思い、海外で活躍する日本人起業家およびビジネスパーソンを応援する目的で2007年7月、ベストセラー著者兼ベンチャー経営者でもある石田淳、泉正人、嶋津良智、鮒谷周史、本田直之の5人はJBN(Overseas Japanese Business Network、在留邦人ビジネスネットワーク)を設立いたしました。

JBNの目指すもの、JBN設立の経緯についてお話しさせていただきたいと思います。

本田外務省発表の平成19 年度速報版海外在留邦人数調査統計によると海外在留邦人数は100 万人を超え、この15 年で55%増と毎年増加を続けています。テレビで報じられているように、スポーツ選手が海外で活躍し始めたは、僕がアメリカへ行った94年ぐらいのことです。そこから十数年経ったわけですが、野球、サッカー、バスケットボール、フットボールなど様々な分野で活躍する日本人の数が非常に増えてきました。

それと同時に、メディアにはそれほど出てきていませんが、日本人の起業家で非常に成功している人たちも増えています。私自身、様々な機会に海外で起業された経営者の方と話すのですが、その際、日本人向けのセミナーなどのインタラクティブなビジネス情報や交流の機会が非常に少ないことに対する問題意識を持たれている方が多いという現状があります。

インターネットの発展により海外でも最新の情報を得たり、ビジネス書を購入できるようになりましたが、セミナーや実際の交流となると、費用やレベルの高い講師の日程などの問題で実現するのが難しい。つまり、生の情報に関しては、交流が成されにくいというのが状況があります。

そこで、今まで私たちが培ってきたビジネス経験や知識をボランティアで提供することで、このような現状を打破のためのささやかながら貢献できるのではないかと思い、海外で活躍する日本人起業家およびビジネスパーソンを応援する目的で2007年7月、ベストセラー著者兼ベンチャー経営者でもある石田淳、泉正人、嶋津良智、鮒谷周史、本田直之の5人でJBN(Overseas Japanese Business Network、在留邦人ビジネスネットワーク)を設立したというのがこれまでの経緯です。

 

本田こうした趣旨に賛同いただき、これまでハワイ、シンガポールで講演会・交流会を行いました。飛行機で隣国から参加される方も多く、こうしたネットワークの広がりを希望されている方がたくさんいらっしゃることをますます実感しています。今後も現地で活躍されている方やそうした方々が作り上げてこられたネットワークとの交流を含めて、世界の色々な場所で講演会・交流会をしていきたいと思っています。

 

石田私は、野茂選手が渡米した翌年くらいから香港に2年間、台湾に1年間駐在しましたが、やはり日本の情報はほとんど入ってきませんでした。海外に住みながら、日本の生の情報が入ったらどれほどいいだろう、という想いがJBN設立に契機になっています。

また、今は仕事の関係で頻繁にアメリカに行くのですが、よく言われるように、渡米の度に「日本と海外が近くなった」と実感します。しかし、交通の利便性や手続きのレベル向上によって持たされた時間的な近さと、実際の情報の交流とは別の流れにあるとも感じるんですね。

海外にいても、当然情報は入ってきますが、表面上であったり、何というか誤解をされて伝わってきている部分もあります。国を超えた時にかかるフィルターによって、誤った解釈が加えられたりしています。私は子供の教育に関わっていますが、最近は子どもに、将来英語を話してもらいたい。できれば、海外の大学にはいるとか、海外で働いてもらいたいと考える親御さんが多いんです。こうしたこともあって、海外って実際にはどういうものなのか。ビジネス、学校生活、ライフスタイルにどのような違いがあるのかをという情報を子供たちに伝えたいなとも思っています。

 

石田ビジネスの世界でも、海外にいる日本人同士のネットワークというのは、自分の経験から見てもなかなか無いんですね。当然、企業同士間のネットワークはあるわけですが、その企業をこえた部分での日本人社会と言えるようなものはなかなか無いんです。

こうした環境にいて、「もったいないな」と昔から思っていました。先ほど本田さんからありましたが、各国に行けば、ものすごく優秀な起業家の方はたくさんいらっしゃると思うんですが、なかなか伝わってこないんです。そうした意味で、JBNがネットワークの1つの架け橋になれればいいなと思っています。

 

嶋津私自身、現在はシンガポールに住んでおりますが、十年ほど前に日本国内でSOHOからビジネスを始めました。中小企業をターゲットにした情報通信機器の販売だったのですが、そこで500万とか600万社と言われているその企業群の中で、実は98%が中小企業であるという事実を知りました。そして、新聞・雑誌などで取り上げられるのは、大企業や有名企業の場合が多いですが、実は中小企業の中にも、良い会社や素晴らしい会社がたくさんあるということ実感を持ちました。

こうした経験から世界を見た時に、大企業ばかりがメディアで取り上げられていますが、BIGではないが、GOODな会社があるはずだ。そうであるならば、GOODな経営者もたくさんいるのではないか、と思うんですね。そうした方々と文字通り、世界の場で活躍したり、世界中の経営者が集まる場を作ったりできるような環境を作りたいなというのがJBNの1つの契機になっています。

 

鮒谷僕はどちらかというと、海外に永住するというより、日本国内にいながら世界に出ていろんなことをやっていきたいと思っています。そうした関心から、世界にある様々な交流の場を見てきましたが、今のところ、そうした場はいわゆる公的機関のと、商社・大企業を中心としたネットワークが担っている。これまでの話にあったように、多彩な能力や可能性をもった個人が交流する場が存在しないという感想を持っています。

さらに、先ほど本田さんが言われたとおり、これだけITが進んで情報が津々浦々までつながるようになったといっても、意味のある情報の流通は、結局、人と人とのつながりやプラットフォームが無ければやはり起きてきません。

ですから僕は、公的機関や大企業のように大きすぎるのではなく、また個々人の伝手レベルのように小さすぎるのでもない、もう少し大きな範囲で起業家同士が共有するプラットフォームのようなものがあればいいなと考えています。

そうした個々のネットワークを結ぶ土台のようなものができた時に、何が起きるのかというのは、そうなってみないとわかりませんが、多分すごく面白い動きが出てくるんじゃないかと思っています。ですから、そうした流れに寄与したいとおもっているんです。

 

僕はインターネットを中心に、すべての情報が世界中に同時配信されるような世界になった今、日本も海外と全く変わらない状況にあるという発想がベースになっています。ネットワーク、情報、仕事、お金など、あらゆる面でグローバル化し、生活を見ても、日本にいながら、世界中どこの国のものでも食べられるような状態になっています。

最近では世界中でお金の壁もなくなってきていますし、世界の投資やマネーの流れを見ていますと、日本という一つの国で考えるのではなく、視野を広げてグローバルな視点で見ていく必要があると思っているのです。

そういった時代に、敢えて日本と海外を分ける意味が無くなっているのではないかと思うんです。もちろん、生活習慣や文化など国によって異なる面があるわけですが、基本的な部分においては分ける意味がない。むしろ、反対に一つの大きなネットワークに結びつけていく方が価値的ではないかと感じています。

そのために僕らができることが、世界中でビジネスをしている人たちとのネットワークを広げることに貢献することだと思うんですね。日本で会社を経営していたり、海外移住を果たしたりする5人が集まって、橋渡し的なボランティアをすることの意味はそこにあるのではないかと思っています。

 

本田今までのお話をまとめますと、日本で培ってきたわれわれの情報を世界に提供・発信することで、世界中のビジネスパートナーや起業を志している人たちに貢献したい。これが第一にあります。

そうした活動の中で、日本で活躍している人を世界中のメディアにつないだり、世界中の人を日本にメディアを通じてアテンションしたり、そういったきっかけづくりのためのボランティアをしたいと思っています。こうしたことがJBNの大きな目標です。

僕らが書いている本を現地でチャリティー販売したり、セミナー参加料を自然保護団体や赤十字に寄付しています。また、こうした交流会をきっかけに現地でのネットワークができるという効果も生まれています。ハワイでは、この前のチャリティー講演会をきっかけに、2カ月に1回ぐらいの交流会が行われるようになりました。こうした嬉しい効果も生まれています。

 

鮒谷今回、僕が1500日以上対外的に出しているメールマガジンで、JBNの発足について書いたのですが、その際、なんとアフリカやドバイからも返信を頂きました。「日本の情報が非常に不足している。だから、情報源としてこのメールマガジンを活用している。セミナー等があればぜひお願いしたい」ということでした。アメリカやカナダ在住の方からも、同様のお話を頂いたりしています。

Web媒体から、ビジネス系の情報やビジネス書、そして新しいトレンドを得ることも非常に重要なわけですが、やはり人的交流でしか得られないものがあると思います。そうした意味で、緒についたばかりのこのJBNの活動を、今後も世界で展開し、一人でも多くの方々との情報交流、人的交流をしていきたいと思っています。

 

私も、今までの講演や海外で起業されている方との交流の中で、情報や発想がお互いに豊かになっていくことを実感しています。日本の経営経験やビジネストレンドなどを提供し、情報を求めている方々へ貢献する。そうした動きを世界へと発展させ、僕らなりに世界に貢献したいと思っています。

 

本田そうしたニーズは、鮒谷さんのメルマガからも実感していますし、海外での経営者の方と実際に会う中でも実感できていることですね。僕らはまだ世界中で有名ではないですが、できる形で貢献をしていきたい。そうした交流を通して、より良いビジネスが生み出されたり、強固なネットワーク構築に貢献でしたいと思います。

 

海外では、情報の利便性は高まったけれども、まだハイレベルな日本人向けの情報が不足している。それを日本での経営経験や海外での経験をベースとして、一人でも多くの在留邦人の方に提供することで、世界へと貢献したい。

それが私たちJBNのミッションです。

そうした活動を通して、ささやかながら海外で活躍する日本人の橋渡しや子供たちの人材育成に寄与したいと思っています。今まで日本で自分たちが培ってきたものを提供することで、私自身が大変多くを学べることも実感しています。こうした相互に成長できる場を生涯をかけて持ち続けていきたい、そう考えています。

 

 

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